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第3章
環境再生へのこだわり
―都市に息づく「自然」の物語―

自然の力を信じ、自然の恵みを大らかに受ける建物

 

「かなめのもり」は、造園家・高田宏臣さんの地球環境への接し方に深く根差しています。先人の知恵から学んだ哲学に基づき、建物の周囲の外構部分は重機で仕上げず手作業で石を積み、炭・藁・落ち葉などの自然素材で造られました。屋上緑化においても、驚くべき自然循環の仕組みが導入されています。地面に木を植える際に枝を組んで高くする「マウンド」のアイデアを応用し、通常の建物に必要な防水のための「パラペット(縁)」をなくしています。それにより、屋上から雨水が浄化されながら自然に垂れてきて、地面に溜まることなくすべて地中に浸透していきます。この仕組みを見た吉田さんは、「自然の山と同じだ!」と感動したそう。

また、建物脇には幅1.5m、深さ2mの掘削部分があり、そこを水が浸透しやすい特殊な方法で埋め戻すことで、1階レベルでも雨水がスムーズに地中に還元されるよう工夫されています。木造建物の基礎にも工夫があり、地面を最大限に開放することで土中環境を良好な状態に保っています。

地上部施工断面図.jpg

雨庭〈雨水が浸透し地面が呼吸する植栽と路地〉のつくり

©地球守・有機土木協会  

屋上部施工断面図.jpg

人口潅水装置のない屋上緑地のつくり

©地球守・有機土木協会

植物の成長についても、「自分が生えている場所で成長できる分しか大きくならない」という高田さんの言葉の通り、1階の地面の木は2年半で6mを超える一方、屋上の木は3〜4m、2階の木はその中間と、環境に応じた成長の違いを観察することができます。少し先の未来には植栽が建物を覆い、より快適な場所になっていることでしょう。

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埋もれていたどんぐりや、鳥が運んだ実から生まれた植物も増えています

未来への展望、心地よさの追求

 

完成後、昔のビルを知る人々から「歩いていると爽やかな風が通り抜けて、気持ちのいい空間だね」という嬉しい言葉を聞くことが増えたそうです。「10年後、20年後、100年後には地域のシンボルとなる森になってほしい」と吉田さん。「屋上にみんなで集まって、何かをしてみたいなと思っています。まだ森の魅力に気付いていない人には、この空間をぜひ体験してほしいですね」と話してくれました。

井上さんは、10年後には商店街がさらに賑わい、地域の人々にとって「当たり前」の存在となり、日常使いから特別な時間まで過ごせる場所、そして木々がより豊かな森になっていることを思い描いているそうです。100年後といった遠い未来については具体的なイメージを持たず、「今が大事」とも。「未来は、そのとき出会った人との情熱の掛け合わせで生まれるお楽しみ」と、井上さんらしい言葉が返ってきました。

2年後や5年後の具体的な展望としては、井上さん自身が運営するフリースクールの生徒さんたちが屋上の森の中で自由に過ごす姿を見守ったり、この森を愛する人々とともにお茶を飲んだり、手入れをしたりしながら、それぞれの関わり方で心地よさを享受できる場所にしたいと話してくれました。

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社務所内より神社の手水鉢を望む

(撮影)栃久保 誠

(執筆)梶田 裕美子

ぐるぐる プロジェクト

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